真夏日が最多を記録した6月、東京・下北沢で演劇「KYOTO」を見た。
1997年、国連の気候変動会議(COP3)で、地球温暖化対策の京都議定書が採択された。史上初めて先進国に温室効果ガスの削減を義務づけ、人類が行動することに合意した。KYOTOは、その国際交渉の舞台裏を描いた英国の作品だ。日本語版を劇団「燐光群(りんこうぐん)」が上演する(ザ・スズナリで7月13日まで。詳しくはhttps://rinkogun.com/portfolio/20250627_kyoto/)。
主人公は、実在した米国人弁護士ドン・パールマン。レーガン政権の高官を務めた後、「セブンシスターズ」と呼ばれる国際石油資本や石炭会社のロビイストになった。88年にできた「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)や気候変動会議(COP)の会合に欠かさず参加した。
当時、国立環境研究所の気候学者として会合に参加していた西岡秀三さん(85)は、いつもにこにこして、各国代表団に気さくに話しかける姿を覚えている。「知恵もあって、人柄のいい人がいるもんだな」と、昼食を一緒に食べたりして、つきあっていた。
しかし、パールマンの目的は、化石燃料会社の意を受け、温暖化の科学的報告書を骨抜きにし、法的拘束力のある国際枠組みができるのを邪魔することだった。
「温暖化の科学は不確実だ」…